「黒帽子に追われているんです」。突然現れた女子大生の一言から、「僕」の旅は始まる。「猿」とみなされた教授、怪しげなユマニスト党員の「水死体」……すでに、のちの大作家の萌芽が見られる「暗い部屋からの旅行」。東京大学教養学部学友会主催による第一回銀杏並木賞第二席となった「火山」。雑誌『学生生活』に掲載されたものの、「火山」同様、単行本未収録の「黒いトラック」。「暗い部屋からの旅行」とともに、2025年11月、大江健三郎の東大生時代の下宿先から原稿用紙のまま発見された、「旅への試み」。これまで文壇デビュー作とされてきた「奇妙な仕事」に先立つこれらの作品群は、大江文学研究史へ与える衝撃のみならず、近現代日本文学史をも揺るがす価値を持つ。若き魂が生み出した輝かしい原石のような小説が、70年後のいま甦る!
*出版元HPより