SOLD OUT
別の光と陰に彩られて表情を一変させた「源氏物語」。どういう訳か、とてもわかりやすく、すらすら読めました。驚きました。(町田康)
アジアでもなければヨーロッパでもない。これぞ「世界文学」の誕生(島内景二)
シャイニング・プリンス・ゲンジの四十を祝う盛大な儀式が開かれた頃、時代はゆっくりと移り変わりはじめる。 エンペラーは代替わりし、若き新人プリンセスが宮中に上がり、恋の物語は子や孫の世代に引きつがれる。 病に伏す者、世を去る者、残される者。絶頂から孤独へ、歓喜から悲嘆へ。やがてゲンジその人も旅立つときがくる──。
刊行されるや否や、源氏物語がたちまち世界的古典文学として知られるきっかけとなったアーサー・ウェイリー版源氏物語。その名訳が伝えたのはいつの時代も変わらぬ私たちの、出会いと別れ、運命の切なさだった。 大好評のウェイリー版源氏物語、第3巻いよいよ刊行!
【あらすじ】
我が子レイゼイはエンペラーになり、パレスにも匹敵する大御殿を完成させて、ゲンジが栄華を極めていたころ、ときは次の世代に移ってゆく。長年の秘めた恋を成就させるゲンジの息子・ユウギリ、ニョサンに恋い焦がれるトウノチュウジョウの息子・カシワギ。アカシのプリンセスをパレスにあげ、堂々たる年齢を重ねるゲンジに誰もが祝辞を寄せていたころ、恋の行方も人びとの運命もゆっくりと動きはじめる。
エンペラー・レイゼイの退位、カシワギの突然の死と遺児カオルの誕生。そして、ムラサキが没するとほどなく、ゲンジもこの世を去ってしまう──。光り輝く中心点ゲンジが、物語の舞台から去る。その波紋が揺りうごかす人びとの心と人間関係を、堂々たる筆致で描き出す17帖。ゲンジの孫ニオウと、カオルの物語のはじまる「宇治十帖」前半までを収めます。
源氏物語が世界文学ではあるとはどういうことか。谷崎源氏との対比で島内景二さんがエッセイを寄稿してくださいました。
和歌表記監修:藤井貞和
*版元HPより