ずっと向き合えずにいた寂しさの正体がわかったことで、
僕ははじめて、自分を信頼できるようになった。
コロナ禍にはじめた畑。熊本の土地とたいせつなひとたちとの出会い。うれしさも苦しさも分かち合える家族との昼夜をへて、僕は自分のなかにいた、もうひとりの大事な存在と出会った。日々を綴るエッセイの先に待つ、あらたな境地へといたる生の軌跡。
目次
畑をはじめて/四年目の畑/安全地帯/ふたりとの出会い/無償で助け合う/外の世界に夢中/鬱は大事な休息/先祖めぐり その一/先祖めぐり その二/先祖めぐり その三/生きるための絵/背中を押された娘の言葉/自分を褒める習慣/ゲンの背中を掻く毎日/アオにマッサージをする夜/不知火忌/その人の「町」/泉との出会い その一/泉との出会い その二/わらしべ長者/ゲンと虫歯/両親と小旅行/助けた亀は戻ってくる/建てない建築家/ゲンの良いところ/人生に無駄なし/プライベートパブリック/声を拾い集める/師匠の見つけ方/新しい病院の設計/海から呼ばれている/親友の優しさ/アオのアドバイス/やるだけやって怒られる/絶対に大丈夫/子どもが一番の薬/伯母が歩いた/イスタンブールは実家/自殺者をなくす方法 その一/自殺者をなくす方法 その二/ピザ修業でナポリへ/学校に行かない君へ/創作すること/鬱になる/脆弱だからこそ持続する/興味はないのか?/思いつきノート/手に預ける/助けてくれるみなさんへ/寂しさが笑顔に変わる
あとがき
著者プロフィール
坂口恭平 (サカグチキョウヘイ) (著/文)
1978年熊本県まれ。2001年早稲田大学理工学部建築学科卒業。作家、画家、音楽家、建築家など多彩な活動を行なう。2004年に路上生活者の家を収めた写真集『0円ハウス』を刊行。主な著書に『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』『独立国家のつくりかた』『幻年時代』『徘徊タクシー』『まとまらない人』『苦しい時は電話して』『躁鬱大学』『土になる』道草晴子の漫画による『生き延びるための事務』など。パステル画をはじめ絵画作品を多数発表しており、2023年2月に熊本市現代美術館にて個展「坂口恭平日記」を開催。本作の装画も著者の水彩画作品となる。
*版元㏋より