生身の身体を伴った,生活する人間を,同じく,生活する人間が理解するとはどういうことか?
地域社会を這いずり回る4人の研究者が,乳幼児期の食(共食の体験),青年期の労働(沖縄のヤンキー),成人期の政治行動(市町村合併),老年期の社会関係(孤独・孤立)をとおして考える。フィールドワークの「原点」へ。
【目次】
まえがき
第1章 乳幼児期の食をとおして考える〈生活-文脈〉理解――〈生活-文脈〉とは何かについて
1.はじめに:ヒトの発達における環境について「狼に育てられた子」から考える
2.食をとおしてみる人間の発達
3.〈生活― 文脈〉とは何か
4.まとめにかえて:なぜいま〈生活― 文脈〉理解が必要となるのか
第2章 青年期の労働をとおして考える〈生活-文脈〉理解――沖縄のヤンキーのフィールドワークから
1.『ヤンキーと地元』で書いたこと
2.戦い方から現実に迫る
3.沖縄の建設業を生きる
4.沖縄のヤンキーの〈生活― 文脈〉理解:長きにわたって奪いつづける関係をもとに
【第2章 補論】 脇の甘いフィールドワーカーがフィールドに巻き込まれた軌跡
1.パシリ気質の父親
2.脇の甘いフィールドワーカー
3.〈生活― 文脈〉理解と、観察者の変化
4.時間をかけて馴染ませる
第3章 成人期の政治行動をとおして考える〈生活-文脈〉理解――市町村合併の事例から
1.はじめに:市町村合併論議と住民の〈生活-文脈〉
2.住民の生活圏と「村の精神」という文脈:鈴木榮太郎の議論
3.農民の日常生活と「生活組織」という文脈:有賀喜左衛門の議論
4.群馬県旧富士見村における市町村合併問題
5.群馬県旧榛名町における市町村合併問題
6.政治グループにみる地域社会における政治行動と〈生活―文脈〉理解
第4章 老年期の孤独・孤立をとおして考える〈生活-文脈〉理解――高齢者の「文脈」なき「生活」理解を超えて
1.はじめに:鎌をめぐる出来事から
2.高齢者の「孤独」・「孤立」をめぐって
3.「文脈」なき「生活モデル」?
4.高齢者の〈生活― 文脈〉理解から
5.さらなる〈生活― 文脈〉理解に基づく福祉実践へ
6.おわりに:「文脈」をふまえた「生活」理解
終 章 〈生活-文脈〉理解の視点から永山則夫の「転職」を再考する
1.はじめに:永山則夫と二冊の本
2.永山則夫の転職
3.永山則夫と虐待
4.トラウマによる〈逃走〉の可能性
5.おわりに:見る人自身の〈生活― 文脈〉
あとがき
【著者】
宮内 洋
松宮 朝
新藤 慶
打越 正行
*版元㏋より