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心的外傷と回復 増補新版|ジュディス・L・ハーマン 著・中井久夫、阿部大樹 訳【訳者サイン入り】

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〈心的外傷体験の核心は孤立と無縁である。回復体験の核心は有力化と再結合である〉 あらゆる心的外傷(トラウマ)の諸相とその治療の方向性、回復への道を具体的・情熱的にしめした『心的外傷と回復』は、1992年の初版刊行以来、世界中の読者から感動をもって迎えられ、現在ではトラウマ問題の「バイブル」の地位をゆるぎないものにしている。 本書は、原書2022年版にもとづき、長大な「あとがき――心的外傷の弁証法は続いている(2015)」と「エピローグ(2022)」を付した増補新版である。アフガニスタン侵攻以後に表面化したアメリカ軍人、特に女性兵士の心的外傷、児童虐待の後遺症としての複雑性PTSD、カトリック教会による組織的な性虐待などの問題を取り上げ考察しながら、この30年間の心的外傷研究の発展を関与観察的態度で詳細に追い、その展望に及んでいる。 そしてハーマンは、最後に結んでいる。 〈結局のところ、心的外傷を癒すためには身体と脳と心を一つに統合することが必要なのだという、基本に立ち戻ることになる。まず安全な場をもつこと、そして思い出すこと、服喪追悼すること、そしてコミュニティにもう一度つながることである。…回復の土台石となるのは、心理療法と社会的支援である。この原理は、どんな治療技法によっても、どんな薬物によっても変わることはない〉 【書誌情報】 出版社:みすず書房 発行:2023年10月 版型:四六判上製、520p 【目次】 序 第一部 心的外傷障害 第一章 歴史は心的外傷をくり返し忘れてきた ヒステリー研究の英雄時代 戦争(外傷)神経症 性戦争の戦闘神経症 第二章 恐怖 過覚醒 侵入 狭窄 外傷の弁証法 第三章 離断 損われた自己 易傷性と復元性 社会的支援の効果 社会の役割 第四章 監禁状態 心理学的支配 全面降伏 慢性外傷症候群 第五章 児童虐待 虐待的環境とは ダブルシンク 二重の自己(ダブル・セルフ) 身体への攻撃 子どもが成人すると 第六章 新しい診断名を提案する 誤ったレッテル貼りとなる診断 新概念が必要となった 精神科患者としての被害経験者 第二部 回復の諸段階 第七章 治癒的関係とは 外傷性転移 外傷性逆転移 治療契約 治療者へのサポート・システム 第八章 安全 問題に名を与える 自己統御の回復 安全な環境を創る 第一段階を完了するには 第九章 想起と服喪追悼 ストーリーを再構成する 外傷性記憶を変貌させる 外傷性喪失を服喪追悼する 第十章 再結合 たたかうことを学ぶ 自分自身と和解する 他者と再結合する 生存者使命を発見する 外傷を解消させる 第十一章 共世界 安全のためのグループ 想起と服喪追悼のためのグループ 再結合のためのグループ あとがき――心的外傷の弁証法は続いている(2015) エピローグ(2022) 謝辞 解説  小西聖子 訳語ノート 訳者あとがき 増補版についてのノート 第9刷へのあとがき 増補新版への訳者あとがき 原注 人名索引 事項索引 【著者】ジュディス・Lハーマン Harvard Medical School(ハーヴァード大学医学大学院)精神医学教授。1980年代に仲間とつくった「犯罪被害者用プログラム」を拠点に、ハーマンは現在も犯罪被害者の治療、専門家育成、公立病院における被害者支援をつづけている。トラウマ(犯罪被害者)研究の第一人者であり、つねに変わらぬ実践家である。最初に世に送った著書が1981年に刊行された『父‐娘近親姦』(Father Daughter Incest C・ライト・ミルズ賞)で、次が1992年刊の『心的外傷と回復』(Trauma and Recovery)。それから30年、2022年には『心的外傷と回復』の新増補版を刊行(本書)。80歳になった著者は2023年、これまでの経験と考えてきたことのすべてを書き下ろした第三作『真実と修復』(Truth and Repair  みすず書房近刊)を世に送った。 【訳者】中井久夫(なかい・ひさお) 1934年奈良県生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。精神科医。文化功労者(2013年度)。2022年8月逝去。著書に『分裂病と人類』『精神科治療の覚書』『治療文化論』をはじめ、みすず書房からは『最終講義——分裂病私見』『西欧精神医学背景史』『徴候・記憶・外傷』、さらに『中井久夫集』(全11巻)ほか多数。精神医学関係の訳書でみすず書房刊のものでは、サリヴァン『現代精神医学の概念』『精神医学の臨床研究』『精神医学的面接』『精神医学は対人関係論である』『分裂病は人間的過程である』『サリヴァンの精神科セミナー』、バリント『一次愛と精神分析技法』(共訳)、ヤング『PTSDの医療人類学』(共訳)、『エランベルジェ著作集』(全3巻)、パトナム『解離』、カーディナー『戦争ストレスと神経症』(共訳)、クッファー他編『DSM-V研究行動計画』(共訳)などが刊行されている。 【訳者】阿部大樹(あべ・だいじゅ) 1990年新潟県生まれ。新潟大学医学部卒業。精神科医。著書に『Forget it Not』『翻訳目錄』。訳書にサリヴァン『精神病理学私記』『個性という幻想』、ベネディクト『レイシズム』、ペリー『ヒッピーのはじまり』、スティーブンズ『月かげ』がある。 *版元㏋より

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