




人はなぜ自殺するのか?
人はなぜ自殺しないのか?
そのあわいをみつめつづけてきた精神科医、
春日武彦による不穏で不謹慎な自殺論考
自殺は私たちに特別な感情をいだかせる。もちろん、近親者が死を選んだならば、なぜ止められなかったのかと、深い後悔に苛まれ、悲しむことだろう。だが一方、どこかで覗き見的な欲求があることも否定できない。「自殺はよろしくない」「でも自殺せざるを得なかった人の辛さに思い巡らせるのも大切」「あなたの命は決してあなただけのものではない」など、さまざまな意見を持つ人に読んでもらいたい、自殺についての深掘りエッセイ。自殺されたクライアントとの体験や、さまざまな文学作品、遺書、新聞報道記事などを下敷きにした、自らも自殺に近い位置にいる精神科医による、自殺をめぐる集大成。
【書誌情報】
出版社:晶文社
発行:2023年10月
版型:四六判並製、344p
【目次】
はじめに
第1章 胃の粘膜
第2章 石鹸体験
第3章 登場人物を自殺させる
第4章 遺書のリアル
第5章 自殺の七つの型 ①美学・哲学に殉じた自殺。
第6章 自殺の七つの型 ②虚無感の果てに生ずる自殺。
第7章 自殺の七つの型 ③気の迷いや衝動としての自殺。
第8章 自殺の七つの型 ④懊悩の究極としての自殺。
第9章 自殺の七つの型 ⑤命と引き換えのメッセージとしての自殺。
第10章 自殺の七つの型 ⑥完璧な逃亡としての自殺。
第11章 自殺の七つの型 ⑦精神疾患ないしは異常な精神状態による自殺。
第12章 漆黒のコアラ
おわりに
【著者】春日武彦(かすが・たけひこ)
1951(昭和26)年、京都府生まれ。日本医科大学卒業。医学博士。産婦人科医として6年勤務した後、精神科医に転進。都立精神保健福祉センターを経て、都立松沢病院精神科部長、都立墨東病院神経科部長、多摩中央病院院長、成仁病院院長などを歴任。現在も臨床に携わる。甲殻類恐怖症で猫好き。主な著書に『不幸になりたがる人たち』(文春新書)、『幸福論』(講談社現代新書)、『無意味なものと不気味なもの』(文藝春秋)、『臨床の詩学』(医学書院)、『猫と偶然』(作品社)、『無意味とスカシカシパン』(青土社)、『奇想版・精神医学事典』(河出文庫)、『鬱屈精神科医、占いにすがる』(河出文庫)ほか多数。
*版元㏋より