




先の見えない新月の夜にも、いつも美しい言葉がそばにあった。
月はやがて満ちていく。新しい時代への希望を綴る「読書日記」。
小説から哲学、エッセイ、人類学の本まで、月を眺めるように読んで、果てしない気持ちになった58作品を紹介。「先が見通せず、前に一歩も進めないとき、しばし立ち止まって本を開き、ほかの人生を生きてみました。そこでたくさん旅をしました。過去へも旅をして、小学校の図書室で本を読む自分にも出会いました。 」(「あとがき」より)。
【目次】
◉雲、あるいは夢の欠けら
空ばかり見ていた(吉田篤弘)
ashes and snow 手紙で綴られた小説(グレゴリー・コルベール)
地球にちりばめられて(多和田葉子)
魔法の夜/マーティン・ドレスラーの夢(スティーヴン・ミルハウザー)
断片的なものの社会学(岸政彦)
遠い太鼓(村上春樹)
◉耽溺する
あるときの物語(ルース・オゼキ)
さよならのアルゴリズム(ローリー・フランケル)
レモンケーキの独特なさびしさ(エイミー・ベンダー)
お菓子と麦酒(サマセット・モーム)
美食と嘘と、ニューヨーク(ジェシカ・トム)
◉無我夢中の魅力
わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきたい(鴨居羊子)
あの頃(武田百合子)
語りかける花(志村ふくみ)
猪熊弦一郎のおもちゃ箱(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館・公益財団法人ミモカ美術振興財団監修)
からだとはなす、ことばとおどる(石田千)
泣かない子供/泣く大人/やわらかなレタス(江國香織)
◉この世界の眺めかた
京都の平熱 哲学者の都市案内(鷲田清一)
月の裏側 日本文化への視覚(クロード・レヴィ=ストロース)
旅に出たナツメヤシ(長坂道子)
サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ)
少年民藝館(外村吉之介)
言葉が鍛えられる場所 思考する身体に触れるための18章(平川克美)
且坐喫茶(いしいしんじ)
甘酸っぱい味(吉田健一)
ヒップな生活革命(佐久間裕美子)
もし京都が東京だったらマップ(岸本千佳)
◉いつもの風景が、がらりと変わるとき
10:04(ベン・ラーナー)
うつくしく、やさしく、おろかなり――私の惚れた「江戸」(杉浦日向子)
寂しい生活(稲垣えみ子)/モモ(ミヒャエル・エンデ)
「おいしさ」の錯覚 (チャールズ・スペンス)
森へ行きましょう(川上弘美)
食べることも愛することも、耕すことから始まる 脱ニューヨーカーのとんでもなく汚くて、ありえないほど美味しい生活(クリスティン・キンボール)
【著者】清水 美穂子(しみず・みほこ)
文筆家。ブレッドジャーナリスト。
1965年東京生まれ。All About、Yahoo! ニュース、食の専門誌など各種メディアでパンとそのつくり手を取材・執筆。趣味は茶道と毎朝の公園でのごみ拾い。著書に『月の本棚』(書肆梓)、『BAKERS おいしいパンの向こう側』(実業之日本社)、『日々のパン手帖 パンを愉しむ something good』(メディアファクトリー)他。