




アフガンの平和と復興のためには何がなされるべきで、何をしてはならないのか。パキスタンでの医療援助活動を開始して以来25年。いまアフガニスタンの平和と復興のために身命を賭して活動する中村医師が、良き聞き手を得て、戦争と地球環境の悪化がもたらす劣悪な生存条件をいかにして変えるべきか、自らの個人史的背景とともに、その熱い思いを語った貴重な発言録。
【書誌情報】
出版社:岩波書店
発行:2021年9月
版型:文庫版、318p
【目次】
はじめに
Ⅰ 高山と虫に魅せられて
ペシャワールとの縁
二〇〇一年十月、衆議院
髭と帽子
伯父火野葦平
洗礼と論語素読
川筋の気質
家族に対する情
対人恐怖症
精神の転機
典型的な日本人主婦
宗教の「共通性」
Ⅱ アフガニスタン、命の水路
よみがえる大地
「時差」四時間半
マドラッサ
家 族
命の重さ
自爆テロ
後始末
流れ弾があたる
安全の限界
参議院、二〇〇八年十一月
Ⅲ パシュトゥンの村々
復讐の掟
「戦争」の名分
現地スタッフの変化
ただ一人残って
精神のよりどころ
丸腰の米兵が水路を掘れば
リウマチ熱、カイバル峠
Ⅳ やすらぎと喜び
日々の楽しみ
生きものたち
これからの見通し
「情を交わす」ハトの目
縁の下の力持ち
一人の父親
アフガンの再生
運命にみちびかれて
あとがき……………澤地久枝
あとがきに添えて……………中村 哲
岩波現代文庫版あとがき……………澤地久枝
[現地スタッフからの便り1] 中村先生の魂は我々と共に……………ジアウルラフマン
[現地スタッフからの便り2] ドクターサーブ中村の意志を継いで生きていきます……………ハッジデラワルハーン
付録……………中村医師関連著書等
【著者】
中村 哲(なかむら・てつ)
1946年生まれ。医師。1984年、パキスタンのペシャワールに赴任、ハンセン病治療やアフガン難民の診療に従事。PMS(平和医療団・日本)総院長及びペシャワール会現地代表として、アフガニスタンにおける復興事業の先頭に立つ。2003年、マグサイサイ賞受賞。2019年12月4日、アフガンで凶弾に倒れ死去。
澤地久枝(さわち・ひさえ)
1930年生まれ。作家。編集者生活ののち、1972年、『妻たちの二・二六事件』で作家として出発。『火はわが胸中にあり』(日本ノンフィクション賞)、『滄海よ眠れ〈全6巻〉』(菊池寛賞)など、著作多数。2008年、朝日賞受賞。
*版元HPより